特別講義2 医学博士 田中康弘先生

●対談シリーズ 特別講義2 医学博士 田中康弘先生

『無様式知覚 ... 胎児は全て知っている』

田中ウィメンズクリニック院長 田中康弘先生 - 聞き手:自然手技療法学院 鈴木登士彦
 
2011_12_td01『無様式知覚というDVD鑑賞の後でのお話です』

田中先生(以下敬称略):こういう風に遊んでいると、突然できるようになるんですね。うちは生後三ヶ月にみんな赤ちゃんを集めて、赤ちゃん主役の『産後クラブ』というのを開くんです。

赤ちゃんは遠くは見えませんから、なるべく近づいてお互いが見えるようにね。向かい合わせてね。床に寝かせてると天井ばっかり見てお互いを意識できないでしょ? だから親がああいう風に見せるんですね。

赤ちゃんはなんでもわかっているんですが、しゃべれないだけなんですね。
だからこのしゃべれないところをお母さんが替わりに相手の赤ちゃんに話しかけてあげる、っていうことで、遊ばせるっていうことが大切なんですね。首がすわったらそういう風にしたほうがいい。できたら触れ合うぐらいにね。
2011_12_td02要するに、人間同士が触れ合うっていうことはとっても大事なんです。今の核家族と違い、昔の赤ちゃんは産まれたときにお兄ちゃんやお姉ちゃんやおじさんやおばさんやおばあちゃんやおじいちゃんがいて、お向かいのおばあちゃんが勝手に入ってきて抱っこしたり、お隣のうちのお姉ちゃん話しかけたりして多くの人と触れ合って育ってきたでしょ? 

今はお父さんが「行ってまいります」って言ったらもうお母さんしかいない。公園デビューまでの一番大事な1年間にあまりにも人と触れ合う機会がすくなすぎる。

生まれてからの1年間がいかに大事かっていう、 例えば、半年経ったときにはまだ猿を識別できるけど、それから3ヶ月人間をやっているともう自分が生きてゆく上で猿を識別する必要ないとわかったとたんに、そういう能力が失われるわけですね。産まれたばっかりのときにはあらゆる言語を聞くだけの音に対する感受性を持ちながら日本語ばっかりしゃべっているとRとLの区別もつかなくなる。
最初の一年間の最も感受性が高い、これから生きてゆく上に必要なシナプスが一杯できる時にですね、ほとんどお母さんしかいない。そうすると、自分と同じような人間がいるということを知らないのだから、相手に対する思いやりの心なんて芽生えるはずがないです。相手がいないのですから。
 
2011_12_td03ですから、なるべく早くこうやって遊ばせて、その後も、時々遊ばせてあげてください、ってことを言うために「産後クラブ」というのを開いているんですね。

そうするとね、思いやりの気持ちが自然に芽生えてですね、社会に対する適応能力が高くなる。こういう風にですね赤ちゃん同士みんなで記念撮影とろうってね、くっついておしくらまんじゅうですね。同じようなのが隣にいるなあっていうことを感じたり、頭をくっつけあったり、そういうことをしてあげるっていうことが、他人に対する意識を高めるんです。

今お見せしたDVD、赤ちゃんは初期ほど大切、最初の一年間がものすごく大事って言っているんですよね。
それから、人は触れ合って育つ。ビデオでやっても学習効果はないのに、同じことを生の人間が向き合って行うと学習効果がある。で、人の初期はいつからか?というのはですね、あの赤ちゃん学者達は小児科出身の方が多いらしく、「初期ほど大切」の「初期」はオギャァと産まれたときなんですね。

でも私は産科医ですから、受精卵が子宮に着床した時が「初期」だと言う。そこが違っているんですよね。

例えばですね、先生、これですね。これ何の絵かわかります?ハイジャックの絵ですよね。つまりハイジャックされて一人ずつ殺されていく。次はお前だぞと言われたときに助け出されて出てきてですね、助かった!とほっとしたとき、インタビュアーにマイクを突きつけられて、今何をしたいですかと聞かれたとしたら、先生だったら何がしたいと思います?
鈴木:きっとお風呂でしょうか。

田中:そうなんです。それはね、日本人は百人が百人言うんですよ。
でもこの前、若佐光一さんはね、ちょっと日本人の癖にね「寿司を食べて、風呂に入りたい」って言ったんですよね。
あいつは異端者なんだ(笑)。でもそれは無理もないんです。宇宙旅行はね、もしかしたら帰ってこれないという確率が90%で、まあ10%くらい生きて帰れると思ったらね、もうドキドキしながら帰ってきたら寿司は入ってなかったんですよ。だからいかに宇宙旅行が安全になったかという証であって、若佐光一さんが日本人じゃないということではないんです。じゃあ、なぜか?わかりません先生?この前お話しましたよね?

鈴木:産湯ですよね。

田中:産湯です。日本人のお母さんくらい毎日毎日お風呂に入れる民族って日本人だけなんですよ。
我々は羊水の中にいたときの快感を何回も何回も味わわせてもらっているわけですね。
皆さんお母さんが毎日入れてくれたなんてことは、とっくに忘れ去っている。でも体はしっかり覚えているから、恐ろしい思いをしてほっとしたらお風呂に入りたくなる、温泉行きたくなんるんです。それはね初期がいかに大きな影響をしているかという証だと思うんですね。日本人は百人が百人言うんです。外国は百人が百人言わないんですから。どこが違うかと言ったら産湯に毎日毎日つからせるのは、日本人だけ。
鈴木:経験値の有無ですね。

2011_12_t1田中:いかに初期っていうのが大切かということですよね。
ここは小児科の先生と一致している。でも、僕はお腹の中にいるときは、ここよりももっと大事だと思うのです。

受精卵が着床しますね?で胎芽、胎児の芽って書くんですが、最初、鰓のようなのができる。
水中生物時代の鰓のような器官が、たちまち耳の骨やあごの骨なんかになってゆくわけ。
それから脊椎動物の原型みたいなのができてきて、両生類から陸上の動物の姿が出てくるわけでしょ。

その中から、四つ足の動物がでてくるでしょ?それがほ乳類ですね。ほ乳類の中からさらに進化して霊長類。霊長類から人類と枝分かれしていて、その進化の過程をなぞるように、受精卵が着床してから、10数週間でわーっと変化して人間になっている。
十三週すぎて人間の内臓や神経ができあがっちゃったら、出来上がった器官の機能を良くするために血液の循環を良くしてあげるということがとても大事ですね。
十五週になると脳が完成するんですね。その時に脳に刺激を与えると知能が発達すると言われているんです。
 
2011_12_t2子宮というお部屋の中に羊水が入っているでしょ、その中で赤ちゃんは泳いでいるみたいに動き回っているでしょ、ですからお母さんが走ると子宮の壁に赤ちゃんの手足や頭がぶつかるよね?

手足の皮膚は外胚葉系といって脳に続いているんですね。手足や頭が子宮の壁にぶつかるとそれが刺激で脳が発達すると言われている。ですから十五週ぐらいで運動すると脳が発達するというのはそこから来ているんですね。

ですから出来上がったばっかりの時にできるだけ血液の循環を良くしてあげるということ、妊娠中に運動するというのが

一番大切だというのが僕の主張なわけですよね。で、できるだけ汗を流すという事が大事だと。

(写真を見ながら)これは、にわとりと豚とヒトとの同じ時期の胎児の姿ですね。にわとりは脊柱動物ですけれども、ほ乳類じゃありませんね。
2011_12_t3更に枝分かれが進んで、ほ乳類になると、この時期ヒトと猿と豚(胎児)は、だいたい同じような姿をしている。
これからまた数週間で豚は豚、猿は猿、ヒトはヒトになってゆくわけですね。ですから初期というのはものすごく大事なんですね。

チンパンジーは豆がつかめないけど、我々はつかめる。
つまり、親指が他の4本に対面しているんですよね。
ところがチンパンジーはこうなっているから、掴めない。

つまり親指の発達はいかに脳を発達させたか。だから絵描きさんだとか機織りのおばあちゃんが長生きなんですよね。

手を良くつかうから。脳の老化が遅れるわけですね。
知能と手の指ってものすごく関連していて、結局四つ足で歩いていたときには使えなかった前足である手がですね、
 
2011_12_t4立ち上がって二本の足で歩き始めたために、色んなことに使えるようになって手が発達したから、知能が発達して、文明が発達した。手の発達がものすごく大事なんですね。で、知能が発達しちゃったために、脳が大きくなって頭蓋骨がばかでかくなったから、この重くなった頭のためには姿勢がものすごく大事なんですね。

頭の重みが体の重心にまっすぐ通れば抗重力筋の筋疲労が少ない。この上半身の重みを腰椎の3,4で受けるわけです。だからちょっとでも歪があると3,4に負荷がかかる。だから人間は年を取ると腰痛症になる。
いかに姿勢が大事かっていうこと。

食量の豊富な森の中で生きてきた人類の祖先は或る時、森林が縮小しサバンナが広がっていく環境の変化に適応して直立2足歩行をはじめ、人類が誕生しました。その結果2つの大きな変化が起きました。
1つは知能が発達したために頭がバカでっかくなった。
もう1つは、人間は立ち上がったじゃないですか、だから早産になってしまった。
生まれてすぐは動くこともできない。
牛や馬の赤ちゃんは生まれるとすぐ歩いてお母さんのおっぱいを吸いに来る。
牛や馬は子宮底が下、子宮口が上ですから早産にならない。
人間は立ち上がったために子宮底が上、子宮口が下。
赤ちゃんの重みで子宮口が押し広げられ未熟なまま生まれます。
牛や馬と同じくらい成熟して生まれるとすると1歳ぐらいでしょ。
でも、もし1歳までお腹にいたら頭が大きすぎて産道を通り抜けることはできない。
かといって、あまりにも早ければ未熟すぎて生き残ることができない、つまり、人のお産は産道通過性と未熟児性という2つの相反する要素のせめぎ合いの中で行われる、機能的に全くゆとりのない異常な現象なのです。
つまりどちらかに偏ると生き残れない。生理現象は機能的に十分な余裕をもっておこなわれています。
その機能100%を使うことはないのです。たとえばおしっこを我慢できる量はせいぜい400㏄。
でも膀胱は最大2000㏄溜められるんです。ですからお産は大変なことなのです。
100%±αの非生理現象。今のように安全になったのはせいぜいここ50年ですよ。
今でさえ国によっては100人に何人かは母親が死んでいるぐらいですから。
今の日本では母親が死ぬと大変なことになります。なにしろお産は100%happy endingが当たり前というのが世間の常識みたいになっているので、産科医がミスをしたとされ訴えられます。
医者は悪いことしたことないので、ミスをした、悪い奴だ!といわれると、もうメロメロになって辞めちゃうんですよ。
まじめで熱心にね、一生懸命やっていた人が沢山辞めちゃって、その結果、お産難民ができあがったんです。
だからお産はうまくいって当たり前っていうのは間違いだっていう事ね、国の役人も、裁判官もみんなも知らないんですよ。だからなんかあると産科医が悪者にされ何億円も払わされる、そういうことが起こっては困るので産科婦人科医会が一般の産科施設はリスクの少ないお産だけやるようにということになった。
双子は受けちゃいけない、高齢や、糖尿病、高血圧、肥満、病的な痩せ、そういうハイリスク妊娠は周産期センターへ送りなさい、という事になった。うちは昔は、逆子もなるべく普通にと、がんばっていたんですけどそれやってはいけないんです。逆子はみんな帝王切開にしなさいという事になった。双子は周産期センターで、新生児科の医師が2人いる中で帝王切開ということになっちゃった。高血圧や糖尿病でも運動すれば大丈夫なんだけれど、中には運動しない人もいるので、そういう人が妊娠末期になって症状が出てセンターへお願いすると、なんでこういう人を受けているの?
困りますねえ、救急車の搬送をなくそうとしているのに協力しないところはもう応援できない。と言われちゃう。
だからもう、うちでは双子も、高血圧も糖尿病もうけられない。昔はむずかしいお産に挑戦して、こうしたらこうなった!
うまくいった!ってみんなで喜んだ。生き甲斐いを感じました。ドキドキしながら、汗びっしょりになって。
その代り達成感も大きかった。今はもうそういう時代じゃないの。
話は変わりますが、赤ちゃんはお腹の中で色々なことをやっています。あくびしたり、指をしゃぶったり、へその緒を咥えてみたり、手足を複雑に動かしたリ、我々が考えてる以上にもう人間になっているんです。
妊娠中は楽しく過ごしなさいっていうのは、お母さんの心と赤ちゃんの心は全く1つなんですね。
お母さんが楽しいうれしいと感じているときは赤ちゃんも同じ気持ち。
逆に、悲しい苦しいと思えば赤ちゃんもおなじ精神状態。
うちで生まれた赤ちゃんね、口の早い子はね、生まれた時のことを話すんですよ。少ないですけどね。
赤ちゃんはみんなわかっているらしい。多くはしゃべることができないうちに忘れちゃうんですね。
生まれたとき僕が“何ていった”と。その子のお母さんからこんなことを聞ききました。
“お腹の中はとても気持ち良かった。でも怖いことがあった。ある時棒が入ってきて怖かった。”
そのお母さんね、妊娠15週の時羊水検査を受けているのですよ。
もしかしたら羊水検査の針が目の前に来たという事なのかもしれない。
鈴木:15週ですね!。

田中:その頃、目ができていてもね、お腹の中って暗いはずでしょう。視力っていうのは光が網膜にあたって感じるのでしょ、お腹の中は暗いはずだから見えるはずない。これが現在の常識ですね。でも、僕はあの親子がうそを言っているとは思えないのですよ。
スターンという精神分析の専門家がいます、乳幼児精神医学の権威と言われているそうですが、”生まれたばかりの赤ちゃんは触覚を視覚に変換できる。”という実験をして無様式知覚という考えを発表しています。生まれて、だんだんものが見えるようになると、もう耳で見ることはできない。目で聞くことはできなくなる.器官を使い始めるとその機能が限定されてしまいますね。じゃあその前は何にもわからないか、そんなことはないと思うのですよ。生まれて40分しか経っていない赤ちゃんが真似して舌を出したでしょう。あれだって常識では出来る筈ないですよね。生まれたばかりの赤ちゃんはあらゆる言語を聞き分ける能力をもっていたのに、日本語の生活の中でRとLとの区別がつかなくなる。胎児の時には無様式で全知覚が存在するという考えもありでは?そういう考えだとね。針が入ってきたこと、見えないけど“解かる”、とか”感じる”ってことだと思うんですよ。だから僕はね、それ以来中絶の手術しなくなったんですよ。

鈴木:なるほど~
田中:スターンの実験はですね。”3カ月の乳児に目隠しをしておしゃぶりを吸わせてから、目隠しを取って2種類のおしゃぶりを見せると、自分が吸ったおしゃぶりを多く注視した。”つまり、触覚を視覚に変換していると。
そこで、”乳児は知覚的に単一の世界を体験し、1つの知覚様式で受信された情報を別の知覚様式へと変換できる生得的な能力を持つ。“と言っています。だから胎児の時ではもっと無様式状態で知覚が存在するのでは?日本でも世代間伝達研究会という会があってその人たちも同じようなことを言ってます。其の根拠はしりませんが、僕は40年の産科診療の経験を通して知りえたことです。妊娠15週でもう人間になっているとすれば、本当に胎児の時代は大事だと思うんですよ。
以上が赤ちゃんに関する「初期ほど大切」「人は触れ合って育つ」そしてその「初期はいつからか?」っていう話です。

2011_12_t5では次の2番目の話「産科医療の現状」についてです。
戦後、経済の高度成長期には運動不足と栄養の取り過ぎで肥満妊婦が増えて妊娠中毒症(妊娠高血圧症)や。難産が増えた。当時,産科では妊婦に対し「安静」を基本とする生活指導をしていたから、(当時は運動や振動が流早産の原因とされていた)太らせないためには食べ物を減らすしかなかった。。“太っちゃダメ!”というのが産科医の口癖でした。太ると怒られる。だから妊婦健診の前1日絶食して体重計に乗って、終わった後大食いするの。
試合前のボクサーみたいに。そういうことをするからますます肥満になる。僕はそんなのおかしいと。食べたいだけ食べる方がストレスがない。

その代り、いっぱい食べたらいっぱい運動しなさいと。もう30年になります。
これはうちのホームページが始まった時の栄養についての文です。
やっとこの頃認められるようになりました。ところが妊婦さんの情況が変わってきました。
 
2011_12_t6高齢化社会に並行して妊婦の高齢化が進み、食べても太れないような年代の妊婦と、若い女性も痩せが多くなりその結果、若い妊婦も痩せ妊婦が急増しています。
痩せの方がかっこいいという事らしい。で、この頃は妊婦の高齢化と痩せという問題が出てきたんですね。
痩せ妊婦の増加に比例して低出生体重児が増えてきた。10年前は20人に1人だったのが今は10人に1人が2500グラム以下。つまり2つの少子化、赤ちゃんの数が減ったのと、赤ちゃんが小さくなっちゃった。
そしてこの低体重児は成人後生活習慣病になる率が高い。これを“成人病胎児期起源説”と言ってイギリスのパーカーという先生がもうずいぶん前に発表したんだけれど、僕がマタニティビクスを初めて5,6年たった頃ですよ。

胎児期が大事と言い出したのは僕の方が早いんだけどね。このごろになって急に皆んなが言い出した。
話は変わりますが若いままの問題があります。未熟児ではなく、未熟母性。僕が付けた名前ですが、泣き叫ぶ赤ちゃんを抱いて呆然としている若いお母さん。どうすればいいか解からないんですよ。昔はお姑さんとか、誰かがいて、おむつ変えればいいんだよとか、お腹すいてるんだよ、って教えてあげたでしょ。でも今は誰もいないでしょ。どうしていいか解からないで途方に暮れている、“未熟母性”が増えているんです。それからこの頃の若い女性の痩せ志向と食の乱れ。所謂ジャンクフード、大量生産で安い、カロリーばかり高くて栄養のないものだけ食べるから体力や精神力がうんと低下しているんですよ。

鈴木:ほんとにその通りですね。

田中:こういう状況が育児にも悪影響をおよぼしています。昔は運動不足と栄養の取りすぎで肥満が問題だった。今は若い女性の4人に1人(東京は3人に1人)が痩せですから痩せ妊婦が増えちゃった。こういう妊婦さんは食べても食べても太れない。栄養の消化、吸収が下手なんですね、だから赤ちゃんに栄養がいかない。こういう人も運動をすると栄養の消化、吸収力がよくなるんですが、痩せすぎて運動ができない。運動するのに必要な筋力もパワーもない。その上姿勢が悪くて浅い呼吸しかできない人が多い。こういう人たちのための運動を作りました。マタニティスロトレと言います。ゆっくりした動きで筋力をアップヲ図り、マタニティビクスが出来る体を作る。その際、正しい姿勢と呼吸が大切です。正しい姿勢で運動しないと効果がないばかりか体を痛めかねない。正しい呼吸法を指導して、軽い負荷で筋肉量を増やして運動可能な体力をつけるのが、マタニティスロトレです。そして、運動出来る体を作ってマタニティビクスをやると、胃腸の機能がよくなって赤ちゃんに栄養が届くようになる。低出生体重児を少なくすることができます。
この表がマタニティエクササイズの効果です。こんな効果があるんですが、10番目にグループエクササイズのメリットとありますでしょう。これがとても大切なんです。
妊婦さんが集まって、一緒に同じ運動をするとみんなが連帯感を持つようになるの。これがとてもいいんですよ。そしてそういう意識ってお腹の赤ちゃんにも自然に伝わるの。運動の後、向かい合っての楽しいおしゃべり、これがお腹の赤ちゃん同士の心の絆を芽生えさせるんです。私のところでは生後3か月に赤ちゃん主役のパーティ、産後クラブに来てもらいます。できるだけ早い時期に赤ちゃん同士がお互いを意識することが、人間社会への適応能力を高め、ひいては虐めや引きこもりなどをなくすことになると思います。でも、いくらなんでも胎児じゃあ早すぎると思うでしょう。僕は早すぎないと思うんです。今の胎児に対する常識よりもはるかに発達していると思います。特に本能的な感覚なんか大人より優れているんじゃないかと思いますよ。妊婦同士が心を通わせることが、胎児の人間性を豊かにするのに役立ちます。マタニティビクスを励行したママから生まれた子供たちを、長年に亘って見ていると、このことを強く感じます。みんなで集まって一緒に汗を流し、運動後には語らいの場となるマタニティビクスレッスンに是非参加してほしいのです。妊娠中、楽しく、活動的に過ごすことが赤ちゃんにとって非常に大切なの。

「鈴木」なるほど。納得ですね。

「田中」face to face communication が人の脳に組み込まれた人間関係の基本的な方法なんですね、人同士が向かい合うことによって心が通う。マタニティビクスのボンディングがベビー間のボンディングを芽生えさせるというのが僕のはなしのおわりなんです。

鈴木:素晴らしいですね、先生。

田中:ありがとうございます。

鈴木:先生がおっしゃられた様に、今は栄養の問題がかなり深刻にあると思います。かなり遅れて科学が追いついて来ている感じですね。1980年台から母乳運動が進んできましたが、それと共に自閉症児という問題が同じグラフ上に出来てきたというデータを掲げている医師の論文を見た事があります。それでは混合ワクチンを摂取するのと、母乳運動の二つが時を同じくして自閉症児の発症と一緒増えて行ったというのです。

きっと、その二つのどちらかに原因があるんじゃないか、と追跡調査を行った結果、ワクチンのほうは白だったらしいのですが、残るは母乳にどうも問題があるらしいのではないかと。母乳というのは先ほど先生がおっしゃったように菓子パンを食べると、高血糖になる。高血糖になると過剰にインシュリンが出て今度は低血糖になります。低血糖になるとアドレナリンが出てもう一回上げなければならない。そうすると気分の落ち込みやイライラ、いわゆるムードスウィングという状態が生じて、未熟母性で育児拒否だとか、幼児虐待だとか、そのような問題の多くはこの母親の高血糖を引き起こす食生活が原因なのではないかというのです。

そのような母乳を飲まされる乳幼児は幼くして血糖調整障害になってしまうのでしょうか? そこに加えて核家族の弊害というのでしょうか、何かあった時にちょっと手を差し伸べてくれる周りのコミュニティとか、回りとの関係性がクローズしていて誰も助けてくれない。自閉症児問題にはその様な背景があるのではないかと思います。

田中:確かに昔の日本人はおせっかいすぎて、私だっておせっかいで嫌だな、と思ったことがありますが、そういうレベルのおせっかいもあるけど、でも昔はもっとね、隣の子供を一生懸命見て、怒って自分の子供と同じようにかわいがるとかね、そういう隣人同士のおせっかいなんですよね。やっぱりそういう助け合い、昔はコミュニティーが絆をもっていた。それが今、余計なおせっかい、私のことをなんであなたがいうの?私の好きにさせればいいじゃない、みたいな。それに余計なおせっかいと言われるのが嫌で見て見ぬ振りをして知らん顔して、隣の人が何しているか分かんないんですよ。

鈴木:そうですよね~。地域で子供を育てるというのがありましたよね。地域で見守るというか。

田中:そういうのがあまりにもなくなりすぎちゃったんですよね。だからその結果色んな事がおきるんですよ。
子育てですよね。初期の。

鈴木:そうですよね。私が始めて先生からお話を伺った時にお聞きした、胎児のうちから父親が参加して子育てをして行くのがいいんだという先生のポリシーはやはりいいですね。まだその時期の夫婦というのは夫婦仲がいいじゃないですか。そういう夫婦仲がいいときに、三人でしっかりと絆を結ぶというのは理想的ですね。

田中:うん。ですから僕はね、三歳まで愛情たっぷりに育てたらね、悪い人間て出ないと思うんですよ。それから先はね、色々と、人間ですからね、夫婦喧嘩してもね、別れたりしてもね、三歳まではそういうことがないほうがいいんですよね。

鈴木:そうですよね。同感です。でも先生さっきの無様式知覚は興味深かったですね。

田中:無様式知覚ね。私も知らなかったんですけど、聴覚、視覚が完成する以前にもそれができあがってないから何もわからない、聞こえない、見えないかというと、そうじゃないんだというね。

鈴木:そうですね。でも先生そうなってくると、例えば十五週で認識をしているということは、受精、着床した時からすでに人として…

田中:そうです。僕は受精卵が着床した時が人間の始まりだって言ってるんです。産まれた直後の産湯に何度も入れてもらっている事なんかすっかり忘れていても身体はしっかり覚えていて、お風呂入るとほっとするっていうのが、いかに影響しているかという。でも、それよりももっとお腹の中にいるとき、お父さんお母さんがどういう生活をしているかっていうのがもっと影響は大きいと思うんですよね。

鈴木:そこですよね。そうすると今の最新の脳科学で、心、精神というのは脳の中の物質であり、脳という臓器が発生させた産物である、といいますよね?でも全然当てはまらないですね。

田中:そうですね。

鈴木:まったく常識とは異なってしまいますね。

田中:だから脳科学っていろいろあれしても、一部は正しいんでしょうけど、本当のことを全部カバーしてないよね。

鈴木:生命ってやはりまだ科学ではわかっていないんですね。先生は産科の先生でいらして、子供が受精して育ってゆくという過程を何十年も観ていらした。やはりその中で、着床したときから人間だというお考えをお持ちになられたのですか?

田中:そうなんですよね。僕はそう思いますよね。初期ほど大切なんですよ。初期はお腹の中のこと。産まれてからじゃないんだという。

鈴木:そうですか。私は今、手技療法と栄養療法と運動療法を組み合わせて不妊矯正など力を入れて行なっています。晩婚化で高齢出産にいく前段階の不妊症で、高度生殖医療を受けている人がものすごく多いんです。そういう胚移植など何回やってもダメだったと本人も諦めている方が、骨盤帯を中心にボディフレームのリセットワークを行ない、栄養状態や基礎筋力などを改善して行く事で妊娠に結びつく確率がすごく高いのです。

田中:それはあると思います。標的臓器に対する医療技術が急速に発達したために、一人の人間をトータルに捉えて妊娠のためのバックグラウンドを整える努力をしないということでしょうか、バックグラウンドを底上げすると、妊娠しやすくなるっていうことはあると思います。ただただ卵巣を診て人を診ないというね、それには限界があると思うんですよね。だから先生のおっしゃるそういう事で妊娠する人がいるほうが当たり前だと思います。

鈴木:本当にそうなんです。妊娠すると今度は産中の矯正と言いまして、骨盤が開いてくる課程で生じる筋肉の緊張バランスなどを整えて行きます。妊婦さんでも身体の筋肉バランスが整うと悪阻もらくだし、うんと元気で過ごせるんですね。もちろん先生から教えていただいた通り安定期に入る前からうんと歩いて身体を動かしなさいという指導もしています。しかし臨月に入って明日病院に行きますっていう前日までいらっしゃるんですが、私には施術中にもし破水でもしたら大変な事だなという一抹の不安もあるんですが、先生これはいかがなものでしょうか?

田中:でもね、だいたい破水とか陣痛は夜中に始まるんです。要するに闘争的な、戦闘的な運動するとかですね、いわゆる交感神経が緊張しているときはあんまり陣痛おきたり、破水したりしないんです。もう三十年やって運動中に破水した人一人もいないです。運動中に陣痛がおきるとか、破水がおこるとか、よく映画や芝居では、よくこう興奮しながらけんかして、痛ててて、なんて、あれほとんど嘘ですね。そういう時って、緊張状態の時って陣痛や破水はおきない。みんな夜です。副交感神経の緊張している状態のときに破水したり陣痛がおきたりする。だからお産っていうのは九割ぐらい夜ですよ。

鈴木:そうなんですか。

田中:ですから、そんなことで破水なんてしないと思いますよ。

鈴木:よかった、安心しました。あと先生、妊婦さんが整体をやっているというと、掛り付けの産婦人科の先生はそういうものはやめたほうがいい、という先生がけっこう多くいるんです。いろいろな施設がありますから仕方がないと思うんですが。

田中:よく知らないのにやめときましょう、というのはやっていいって言って何か起こったら、先生がやって良いって言ったからやったらこうなりましたって言われるのがいやだからね、まあ、やめときましょう、って言っておけばリスクがないからね。みんなね、そういう風にいうんですよ。

鈴木:そうですね。あと安定期に入るまでは、っていう考えがあると思いますが、やはり安定期に入るまでは施術ははやめたほうがいいでしょうか?

田中:僕はそんなことはないと思う。そんなことでどうかならないですよ。初期の流産はですね、どんなに安静にしていても、どんなホルモン注射しても、だめなものはだめになる。

鈴木:それは染色体異常とかでしょうか?

田中:そうです。だから妊娠初期に走ったら流産するとか、乗り物の振動で流産するとか三十年以上前は言っていたから、妊娠すると安静にとなっていました。それが間違いっていうことが超音波診断装置が発達して枯死卵なんていうものは、どんなにやってもだめになるということがわかって、初期の流産の治療法はないということになりました。
2011_12_t7僕が初期の流産は運動とは関係ないっていっていたのが、超音波で後から検証されました。
でも、妊娠後半期の早産は運動が原因という考えはそれからも長く続きました。子宮の収縮を抑える薬を点滴して1ヶ月も2ヶ月も入院による安静療法が続きました。
長く入院すると、精神的にめためたになって、良くないんですね。入院する必要もないのが、3分の2なんですよ。
僕に言わせると。で、結局、運動は早産を予防するって、僕が信念で言っていた事が1999年から早産は感染によって起こるという事が立証されたんですね。多くの論文から。

鈴木:1999年って言いますとついこの間ですね。

田中:そうです。感染っていうのは膣に炎症が起きてそれが子宮経管を通って、卵膜炎をおこし、早産になると。
だから、感染が主な原因になっているとわかったんです。
 
2011_12_t8運動は早産をの予防するっていうのは、運動すると白血球が増えて、それが細菌を食い殺す、免疫力が高まるから感染を抑えるという効果があるでしょ。
それに、もう一つ僕が発見したのは、運動するとね、人間はちゃんとそれに対応する能力もっているんですね。
運動するとお腹の張りを抑える物質が増えるんですよ。
副甲状腺ホルモン関連ペプチドいいます。
ですから、運動すると免疫力が高まって感染を抑える力が増えるということと、それからお腹の張りを抑える物質が増えるという、その二つです。運動が早産を予防するっていうのは、10年前からは僕の信念として言っていたことが検証された事実になったんです。

2011_12_t9でも、僕が信念で言っている、妊娠中に運動すると赤ちゃんの運動神経や知能や体力が増えるって言う事はまだ検証されていなんですよね。僕が信念で言っていた初期の流産は運動と関係ないとか、運動は早産を予防すると言っていた事が後から検証されたように、この事もいずれは検証された事実になるから私を信じて運動してください。って言っているんですよ。

これ検証難しいんですよね。というのは、昔は私を信じて運動してくれた群と、やっぱり運動なんかするといけないと周りに言われて運動しなかった群、運動群と非運動群でデータだして、運動した群のほうが安産だっていうことがわかったんだけど、今、あなたがた、安静にしててくださいね、

ちょっと赤ちゃんの出来が悪いけど運動群と比べますからって、言えないでしょ。
全員運動群ですからね。比較データは出ないんです。
運動した赤ちゃんが優秀になるっていうことは。じゃあ、うちは全員運動群で、よその病院で運動をすすめないところがありますよね?そこと比べるとなると、母集団が違う。
もしかしたらうちに来るカップルのほうが質が良ければ、親が優秀なら子供も優秀に決まってるから。
それを比べたって比較にならないと言われたらそれまででしょ。
だからなかなか難しいんですよ。でもうちの赤ちゃん達はどんどん活躍してますよ。
もう9000人以上産まれてますから、いずれノーベル賞でも取ってくれるんじゃないかと楽しみにしてますね。

鈴木:そうですか。

田中:今はね、新体操とかバレエとかダンスで活躍している人が多いですね。

鈴木:あと産後の骨盤矯正を行うと、やはり母体の経過がいいのですが、

田中:骨盤のケアってどういう風にするですか?

鈴木:仙腸関節を締めていくっていう感じですね。そういうことを行うと、下肢のむくみやお尻のむくみが取れて、骨盤〜お尻が早く小さくなります。ですから、だいたい二〜三回ぐらいの矯正でジーパンがどんどん緩くなって行きます。
骨盤が締まるって事だと思うんですね。骨盤が開いた状態から正常に近づいてくる。
産後矯正をきちんと行ない仙腸関節が締まったほうが動きやすいし元気になるのですが、産後っていうのはどのぐらい安静にして、いつぐらいからこのような運動療法をやっていいんでしょうか?

田中:昔のお産は大変だったですよね。大出血しても止血するわけじゃないし、それで昔だったら日本も低栄養だったと思いますから、やっぱり体力もない人もいたから産後三週間ぐらい寝ていたほうがいい人もいたかもしれない。
今のお産って、出血も少ないし、時間も短いし、うちなんか痛くないから、お産による侵襲が少ないですね。
一週間ぐらいしたら何でもできるぐらいになってますかね。だから一ヶ月もすればいいんじゃないですかね。

鈴木:先生はアフタービクスというのはなされているのですか?

田中:やってます。実は、アフタービクスは四週間からやるのが一番いいんですよね。
ところがね、その頃って眠くてしょうがないわけですよ、お母さんお乳やってて。
そんな暇があったら寝てたいっていう人もいるから、ですから六週間からってことになってます。
僕は四週間からやれれば、どんどんやった方が良いと思います。

鈴木:そうですか。産後体がしっかり安定してくるっていうのはいつくらいでしょう?

田中:完全に出産の影響がなくなるのは、僕は半年とみてます。それまでに姿勢を元に戻さないと妊娠出産によって悪化した姿勢が残っちゃうんです。だからアフタービクスなんかで姿勢を良くするのはなるべく早いほうがいい。

鈴木:あと先生、第一子と第二子の間隔っていうのはどのぐらいが適切なんでしょうか。

田中:お産がうんと大変なら、体力回復するまで待たなくちゃならないけれど、今のお産でしたら、なるべく早いほうが良いと思っています。

鈴木:早いほうがいいですか。年子とか?

田中:そりゃ、年子だと入学金がどうのとか、経済的なことを考えなければ、単にお産ということであれば、間隔が短いほうがいい。なぜかっていうとみんな高齢ですから。38歳で2年あけるとなると40歳になっちゃう。
その頃になったら一年ごとにものすごく不利になってきますから。
20代だったらそんなに焦る事ない。30台だったらなるべく早い方が良いと思います。

鈴木:そうですか。

田中:お産は23歳ぐらいが一番いいんですよ、本当はね。33歳になるとね、10年経つと別人です。
それだけ不利です。今まで43歳の人がお産にいっぱいきたんですよ。うちはね。
それでも運動すればね、体が若返って、マタニティビクスを100回もやれば33歳のお産してたんですよね。
でも今は43歳の人をうけて、その人が運動しないで変な事になったら怒られますから、うちでは43歳だったらお産できないです。お断りしなくちゃいけない。

鈴木:43歳っていうのは、最高齢ぐらい?

田中:いや、うちは47歳が最高齢です。

鈴木;47歳!そうですか~。

田中:43歳はずいぶんいますよ。でももう、今年からそれはできなくなっちゃった。
不妊治療して、出来たらうちにくるぞ!と思って楽しみにして不妊治療してた人が一杯いたんですよ。
でもうちは41歳を超えるとできないんです。今年から。

鈴木:そうですか~

田中:そうしちゃったんですよ。今年から。気の毒ですけど。

鈴木:腕の見せ所がなくなってしまったんですね

田中:腕の見せ所もないし、楽しみもないから、そのかわり、もし結果が悪かったりしたら訴えられるかもしれないと思いながら、必死で汗びっしょりかいてやるっていう苦労も疲れもなくなりましたからね。
それはそれで、年とったから、ちょうどいいのかもしれないけどね。

鈴木:あと先生、お腹が張るっていうのはなぜ張るんですか?妊娠して大きいお腹が張ってきたっていう

田中:僕に言わせると、子宮って将来ぎゅーって押し出す臓器ですからね、やっぱり張ったり緩んだりしてるわけですね。それで安静しているほど、ばかに敏感に感じて、ちょっとしたことで張った張ったって怖がっているのが大部分ですね。運動するとお腹の張りを抑える物質が増えるから現実にあまり張らなくなるんですよ。だからマタニティビクスやっている人で、夜お腹が張って心配っていう人、一人もいないですよ。
30~35週ぐらいでお腹が張って心配で…、という夜中にきても、なんでもないんですよね。
そういうのは運動しない、安静にしている人です。あとお腹が張るのは便秘してですね、お腹が張るっていうのがありますよね。それも運動すればそういう事はなくなりますよね。だから便秘でお腹が張るのと、安静にしていて子宮の筋肉が過敏になってやたら張りやすいのと、その二つですよね。

鈴木:そうですか。わかりました。色々ありがとうございました。色々とためになりました、ありがとうございます。

田中:いえいえ。


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