対談シリーズ マタニビクス 田中康弘先生

s-setagaya171今回は、田中康弘先生を紹介させていただきます。
田中先生は、産婦人科医として、日本における無痛分娩の草分け的存在であります。
全国から集まる産婦人科医師らへの指導はもとより、現在もご自身で診療にあたっておられる、第一人者であります。また、日本で早くから「出産指定日の選択」を開始されたことは特筆すべきでしょう。
さらに、日本にエアロビクスが上陸する1年前、1981年に早くもフィットネススタジオを開設され、妊婦さんの為の運動療法「マタニティビクス」を開発、始動、1986 年に「日本マタニビクス協会」を立ち上げられて以降、本格的に全国にマタニティビクスを広めてこられました。現在「日本マタニティビクス協会」は、2200名のインストラクター、全国500カ所以上の登録施設を有しています。
今回はそんなご活躍をされている田中先生に、興味深いお話を伺いました。
(2005年7月 自由が丘 田中ウィメンズクリニックにて)
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鈴木:今日はお忙しいところ、貴重なお時間を頂きありがとうございます。
先生をご紹介させていただくには、4つのキーワードがあります。無痛分娩の第一人者であられること。マタニティビクスを創始されたこと。一早く出産予定日の選択を開始されたこと。そして、ご自身がクロスカントリー大会などへエントリーされる現役のアスリートでおられる、の4点です。
この4点目については、いつも先生のお体の矯正をさせていただきながら、「50歳を過ぎると戸籍上の年齢より肉体年齢である」との私の持論に則し、実年齢より15歳以上は若いと思われる、鍛錬された肉体をキープし続けていること、素晴らしいと感心しております。
田中先生(以下敬称略):実は鈴木先生と出会うまで、腰を悪くしていて大変だったのです。自分の家から駅まで歩く事さえつらかった。そのため、これまであちこちの整体の先生や整形外科やスポーツマッサージ、貴乃花を診ていた武道家の先生など、転々と施設を渡り歩き、治療してもらっていました。私は行き始めると1つの施設に最低1年間位は通ってみるのですが、結局治らない。そのなかで鈴木先生に巡り会い、診てもらうようになってからどんどん良くなったのです。最初の2、3回は好転反応で、逆にものすごく痛かったのですが、そのあとみるみる良くなっていった。ただその頃、せっかく良くなったのだからと欲を出し、足の裏のしびれをとろうと外科手術をするなどして、3、4ヶ月を棒に振ってしまったこともありました。現在はまた鈴木先生に継続的に診て頂くことで、だいぶ回復しております。やはり治療の中で、鈴木先生との信頼関係が築けたことも大きな要因だと思います。素晴らしいお人柄。そして相性といいますか、通じるものがあるように思います。
鈴木:先生にそのような言葉をいただけると恐縮です。
それではまず、先生が約30年前に初められた「無痛分娩」のことから伺います。現在の無痛分娩の割合、また、無痛分娩をとりいれるきっかけをお聞かせ下さい。
田中:まず、「無痛分娩」の割合は、日本では今でも少ないです。アメリカやヨーロッパの先進国では90%以上が、僕のやっている硬膜外麻酔を使用しています。だんだん日本でも硬膜外麻酔をする病院が増えてきています。
そして無痛分娩を取り入れるきっかけですが、まず僕は「出産は生理現象ではない」と思っています。「お産は自然の営みなのだから、医療の助けを借りないで出産するのが自然だ」という意見もありますが、僕は「お産は自然の摂理を超越したもの」と考えます。生理現象とは、無意識のうちにできることをいいます。自分の力のうち全体の20%位を使えばできることです。筋肉でさえ、普段はその20%ぐらいの力を使っているのです。ハシより重たい物を持った事のないような、か弱い女性が「これを持ち上げたら1億円あげるよ」と言われたら、頑張って70kgのバーベルなんかを持ち上げられることもありますね。それがだいたい30%。そして、火事の時だったらもっと力を発揮する、いわゆる火事場のバカ力というのは人間の筋肉の70%近い力を使った時のパワーのことです。それ以上力をだすと皮膚や筋肉が切れてしまうのです。
出産というのは、実はこの100%を出す作業。赤ちゃんも100。お母さんも100。だから痛みもありますし、命を落とす子供やお母さんも出てきます。
「人が死ぬ」可能性がある事は、生理現象ではありません。
それには人間の進化が大きく関係しています。例えば、牛や馬の赤ちゃんは生まれてすぐに立ち上がり、おっぱいをもらいにいきます。人間と比較すると、成人とほぼ同じ機能を備えて、すぐに生活できる状態で生まれてくるのです。それに対し人間の場合は、生まれたばかりの赤ちゃんは寝たきりでなにもできません。これは、人間が動物とは違う進化の過程を経てきたからです。遥か昔、2足歩行を始めて道具を使う事を覚え、技術を発達させてきました。それに伴い脳も大きく発達し、胎児の頭も大きくなりました。そんな人間が、他の牛や馬のように成熟するまで子供をお腹に入れていたら大きすぎて産道からでてこられなくなる。そのため、動けない程の「未成熟」ぎりぎりの状態で生まれてきます。

そんな進化形態を遂げてきた現在、我々人間にとって自然なお産とは、どんなお産なのかと考えた時、人間の特性が生かされて医学が進歩したのだから、進歩した医学を使い、より「安全な出産」にしてこそ、「人間のお産」といえるのではないでしょうか。例えば、点滴をしながらお産をする。これは自然な姿ではないかもしれません。
しかし、お産の途中で大出血が起きたとしたらどうします?大量出血による虚血状態になって血管が萎縮していて確保できません。それからあわてて輸血の注射をうとうとしても、手遅れになってしまいます。だから前もって、点滴の場所を確保しておくことで、いざという時に備えられる。陣痛計で赤ちゃんの心音をチェックし、胎児や母親の安全を確認する事ができる。分娩台手術台を兼ねていれば、帝王切開をしなければならない時すぐに対応できる。これが現代の日本における「自然」な出産ではないかと考えます。

鈴木:人間のお産は非生理的なもの、とは目からウロコの考え方です。
進化の過程で生理的早産で生まれるようになったのですね。
さらに現代は、人間自体がかなり弱体化していると思うのです。日々、手技矯正の仕事をしていて、「強いなあ」と感じるのは明治生まれの方です。ご高齢ですが、筋骨に筋金が入っている、と感じます。それから大正、昭和一けた世代の方が見事な体をされています。それ以降、団塊の世代になるとガクンと体力が弱くなる。先達の方々に比べると言葉は悪いですが、「なまくら」ですね。それ以降は比べると見る影もありません。特に昭和50年以降の子供達は非常にひ弱です。社会がかわり、生態がかわり、食べ物が変わって、文化も生活様式も変わってきた。それに伴い、病気のあり方も、医療のあり方もかわってきました。そのような社会性を踏まえて始められたのが、「無痛分娩」なのですね。
田中:そうです。こんな風に医療に囲まれていることは自然でないかもしれませんが、人間は進化によってお産がリスクの高いものになったのだから、安全性を確保するためにその医療を存分に使うべき、と考えます。
鈴木:情緒面になりますが、「産みの苦しみがあってこそ、母との絆が深まる」という言葉を聞きますが、そのあたりについてはどうお考えですか?
田中:それは痛みを耐えるしか方法がなかった時の言葉だと思うのです。母親はそう言うしかなかったのです。でも今は医療が発達したのですから、それを利用して痛みを取った方が絶対に安全です。お産の時だけ「痛みに耐えなさい」「自然が一番だ」なんていうけれど、今の人達は、普段の暮らしでは、ちょっとしたことでもすぐに手当てするような快適な暮らしをおくっています。冬は暖房、夏は冷房。便利な乗り物...。文明の恩恵にどっぷりと浸かっているのに、出産のときだけ「痛みにたえなさい!」というのは、母親にとっても子供にとっても可哀相です。それに、痛くないお産の人が愛情がなくなる、ということはありえません。痛い分娩を行ったお母さんの中には、産む事で体力を使い果たし、疲れきってしまい赤ちゃんとの対面を感動できない、という方もいます。でも無痛分娩の場合は、出産後すぐにお母さんに子供を手渡し、にっこり笑って、赤ちゃんを抱きしめてあげられる。痛くないお産のほうが、絆をつくれると思いますよ。
鈴木:感動するのも、苦しむのも同じ「エネルギー」なのですね。どこでそれを使うか、という問題ですね。
田中:今から5千年も1万年も前の人類、時代だったら、痛みにたえる出産でもよかったかもしれませんが、今は状況が違います。突然そんな痛い思いをしてしまった妊婦さんは「もう2度とこんな苦しい思いはしたくない」と思うこともあります。それが少子化に繋がる部分も否定できません。私共の病院で子どもを産んだお母さんは、出産が終わった直後に、「もう一度産みますか?」と聞くと「はい!こんなに楽だしもちろんです」と即答しますよ。
僕は自分のトレーニングがてら多摩川沿いをランニングすることがあります。ジョギングの最後には靴をぬぎ、河川敷をちょっと裸足で歩いてみます。すると、すごくすごく痛いんですね(笑)。歩けないのです。そんな時には出産時に女性が感じる、この1000倍以上もの痛みを想像してみます。痛みというものを自分で感じ、大変な事なんだと認識するからこそ、痛みをとることの重要性を実感できます。私はむしろ、痛みに耐える訓練をするより、普段の暮らしで出来るだけ体力作りをすることの方が大切に思います。汗を沢山かく、足をつかい、自然の食べ物を食し、基礎体力をつける。お産の時は医学の恩恵に預かり安全に、痛みなく、楽に産み、その後のために体力をとっておく。出産時の痛みを耐えることに力を使うのでなく、もっとクリエイティブなことにその力を傾けた方が、よほど人間らしいと思います。
鈴木:おっしゃる通りです。日頃、人工的な生活を享受していて身体諸機能が大きく低下しているのに、もっとも激しい痛みを伴う出産時だけ自然がいいというのは、ナンセンスです。日々の生活の中で心身共に鍛え上げて行くべきである、同感です。

鈴木:では次に、先生が推奨されているマタニティビクスのことについて伺います。
私は「人間は動物。動く物である。きちんと動く事によって万事うまく行くように設計されている」と考えます。動かなかったり、動きすぎたり、偏った運動ばかりしたりすると壊れてしまいます。私の仕事場にも妊娠中で腰の痛い方、出産後に体調の悪い方など多く通院されるのですが、やはり「動かない」ことで体調を悪くしている方が多くみられます。
先生がマタニティビクスを始めよう、と思われたきっかけは、やはりご自身が運動を通じて健康を体感されていた事が大きいのでしょうか?
田中:僕は学生の頃、山登りをしていましたが、医者になってからはなかなか泊まり込みで山へ行く時間がとれない。そこで始めたのがスキーでした。スキーに行く前に足腰を悪くしたらいけないからトレーニングをしようと思い、ランニングを始めました。ランニングをするととても体調が良く、気持ちがいい。自分の体が「走る事(運動すること)で体調が整っている」ということを実感しました。
その頃、自宅の近くの小学校にトリムクラブ、という体操クラブができ、僕もスタッフとして医師の仕事の傍ら、主婦のみなさんに体操を教えるようになりました。そのなかでふと、「肥満妊婦さんも運動をしたらいいんじゃないか」と考え始めたのです。
そして昭和56年、自分の病院にスタジオを建て、信念を実践したのです。最初の頃は僕が運動しなさい、というと「とんでもない医者だ!」と、病院へ来なくなった妊婦さんもいました。それでも"運動をしたほうがいい"という理念を伝え続けることで、最初は怖がっていた妊婦さんたちも半年、一年と経つうちに、その考えを実践してもらえるようになりました。同時に、僕は運動する妊婦さん達のデータを集め、毎年学会へ報告していき、僕の信念である運動療法は一般に認知され、さらに年月を経て浸透していくようになりました。
始めた時期も良かったのです。当時、エアロビクスが日本に入って来た時期でした。
エアロビクスは完全に「個人」の体操です。人と何かを競うのではなく、自分のペースで自分の躯を知りながらコンディションを整えられる。それを体験して、すぐに病院のスタジオをエアロビスタジオに切り替えたのです。「これなら妊婦さんにも、その人の個性や体力にあわせた体操をやってもらえる!」と、すぐにスタートさせた。
マタニビクスの誕生です。その当時「エアロビクスならば、一時の流行ではなく、長く親しまれるに違いない」と思い取り入れ、実際もう30年近く、愛され、親しまれる存在となりました。当時は「妊婦は安静に」というのが定説でしたが、マタニティビクスを取り入れるなどして、運動をするのが通説になってきたのも、こうした年月をかけた妊婦さんたちの声が大きかったのではないでしょうか。
鈴木:マタニティビクスを行なう事で、母親にどのような影響があるのでしょう?
田中:現代の私たちの生活に特に欠落しているのは体力。以前と比べて体を動かさなくなったことが一番の変化です。体を動かす事で、血液の循環がよくなり、卵巣機能も良くなる。不妊症にも効果的で、肥満になりにくく、妊娠中毒症も減る。さらに病気にもかかりにくくなる。有酸素運動の利点というのは、普通の人と同様に妊婦にも応用できるというデータが出ています。妊娠をすると中性脂肪やコレステロールも増えます。ここできちんと運動をしておかないと、血圧があがってしまったり産道が狭くなったり、胎盤機能が悪くなるなどして、中毒症が増える結果となる。きちんと筋肉がついていればいい陣痛がくるし、いきみが上手になり、筋肉が伸びるため産道も開きやすくなる。高齢になる程、運動をする事でのメリットは大きくなります。
鈴木:妊娠中の食事制限についてはどのようにお考えですか?
田中:人間の本能に従って考えれば、妊婦さんはどんどん食べたいものを食べてかまわない。しかし絶対的な運動量が減ってしまっているその時期、食べただけでは肥満妊婦が増えてしまう。するとお医者さんは「甘いものを控えて、油っこいものはやめて」と、してはいけない事を増やしてしまいます。これは妊婦さんにとってストレスですよね。僕は「食べたいだけ食べて、その分運動をしなさい」といいます。それによって安産傾向になるのです。出血も少なくなり、赤ちゃんも元気に生まれてきます。
体を動かす事は本当に大切なのです。健常者は医療施設に近寄らないでしょう。そのため、医者が健康な人の体調を知る事はなかった。でも「健康なのに病院に訪れる人たち」がいます。それが妊婦さんなのです。妊婦さんに対して運動が必要だ、というのはつまり、健康な人たちにも運動は必要ということです。それを始めたのがおよそ30年前。そして、現在健康な人の運動はどんどん広まっています。そういう意味では「健常者の運動が大切」というのも自分が始めた、と言えるかもしれません。運動は妊娠中だけでなく、出産後も中年、更年期もすべて必要だと考えます。
鈴木:お腹の中の赤ちゃんに対する、マタニティビクスの効果を伺えますか。
田中:最近では健康な赤ちゃんの為にもお母さんの運動は大切ではないか、という研究も進んでいます。お母さんの運動は、胎児の運動神経や体力にも役立つのではないか、というデータ集めが進んでいます。まだ結論はでていませんが、僕は「赤ちゃんに効果的!」ということは、「絶対にお母さんにもいいはず」という信念も持ってやっています。
マタニティビクスを始めてから5年後ぐらいに、超音波診療の発達によって胎児の状況がわかるようになり、早産や流産の原因が運動ではないことがわかり始めました。(初期の流産はもともと育たなかった胎児がそうなるのであって、8ヶ月、9ヶ月の早産に関しても、感染によって起こることが明らかになり、流早産の原因が運動である、ということでないことが現在の研究ではわかっている。)「妊婦の運動がいい」という僕の信念に証拠が後からついてきた感じです。
現在、東京女子医大の小西先生(乳児行動発達学教授)と組み、お腹にいるときの胎児の行動と、出産してからの子供の行動の共同研究をしています。お腹の中から胎児は様々な発達をしている、お腹の中でも自分の意志に基き、行動しているのではないか?など考察しています。こうした研究を通じ、運動したほうがよくなる、という研究結果がいづれ実証されることを楽しみにしています。
鈴木:本当ですね。そう考えると赤ちゃんが体内にいるときの環境、「体内環境」というものが非常に大切になってきますね。
田中:その通りです。胎児がお腹の中にいる時に、母親がどのような生活を送るかというのは、一生に大きく影響すると思います。
鈴木:私の所にいらしている妊婦さんにも、健やかに過ごしてもらうためのいくつかの提案をさせていただいております。1つが「ニュース断食」。心温まるニュースなんてほぼないのだから、1年くらいニュースを見ないで過ごしても、生活に支障はありません。それから、「自然の中に身を委ね、ゆっくり長時間散歩をする」、そして「常に赤ちゃんと対話する」。赤ちゃんにとって一番大切なのは体内環境です。そのために「食事を整えてください」、「できるだけいいものを食し」、「いい事を考え」、優しく、気持ちがいい事で、心と体を満たしてください。それが全て赤ちゃんに通じていくのだから、と伝えています。
田中:全くその通りだと思いますよ。そして、お父さん、お母さん、胎児、「3人で話をしている」という意識も非常に大切です。先生がおっしゃるように、お母さんが妊娠中を楽しく過ごす、というのは重要なのです。キレやすい子供やイライラしやすい子供というのは、お腹の中にいた時にお母さんがうつうつとしていたんのではと思う。「運動しちゃいけない。甘いもの食べちゃいけない、飛行機に乗ったり、旅行してはいけない...」と、いけないづくしだとストレスがたまりますね。そういう生活も胎児に影響を与える、と僕は思います。ですから僕は、妊婦さんにいっさい禁止事項は出さずその代わり、たくさん動き、汗をたっぷりかいてください、と伝えます。楽しく過ごす事が一番大切なのですから。
最近、子供が親を傷つける事件がありますね。これは3歳までの育て方が間違っていたのではないかと思います。3歳まで上手に育てらえなかった人が親となり、また育て方が分からないまま、絆をうまく育めなくなっている。昔から僕は、「三つ子の魂百までも」という言葉を尊重しています。まさに3歳までのことが一生に影響するというのが、昔の人は経験的にわかっていたのでしょう。ただ実は医学的には、「3歳」よりも1歳半までがもっと大事で、さらに重要なのは産まれてから3ヶ月だ、とも言います。その3ヶ月の間に、いかに両親が赤ちゃんと向き合うか、というのがその後の成長に大きく影響してくるのです。
例えば、自分がハイジャックにあったとする。もう殺されるかもしれない!という緊張感と恐怖を味わって解放されたとします。その時に一番にやりたい事ってなんですか?日本人特有の答えがあります。それは「お風呂に入りたい「温泉で足を伸ばしたい」なのです。これ、世界中で日本人だけなのです!なぜでしょうか。それは、日本人は産まれた瞬間に赤ちゃんをお風呂に入れる習慣があるからなのです。いわゆる産湯。赤ちゃんの頃、毎日のように入れてもらっていたお風呂のリラックスした気持ちのよい記憶が体にしみついているから、日本人は緊張が解かれると「お風呂!」と思うそうです。これは、生まれた瞬間、生まれた直後ほど影響を受けていることの証明ではないでしょうか。同様に、子供がお腹の中にいる時、お母さんがどんな生活をしているか、生後2ヶ月ぐらいで、赤ちゃんの動き方が大きく変わってきます。この時期のお父さんとのコミュニケーションも、その後の親子の絆に強く影響します。
鈴木:父親の育児参加、という点から考えると、先生のクリニックで実践している「出産日の選択が可能」、さらに「年中無休である」ことは意味深いですね。
田中:先ほどもお話ししましたが、お産は安全に行うためには、やはり医療が充実している方がいいのです。ただ、全体の77%の出産は、深夜や祝日などの診療時間外におこります。100人の妊婦がいると、そのうち77人は深夜や祝日に陣痛が来る。
普通の診療時間内であれば、医療もスタッフも整っており、かなり安全ですが、それ以外の時間だと、人手不足などの問題がでてきます。お産の安全性を上げるためにも、うちでは休みなくやっています。また、予定日もほぼ確定できますので、お父さんも参加しやすくなります。
鈴木:妊婦さん、またご家族にとってはなによりも心強いです。今日は貴重なお話しをありがとうございました。ぜひこれからも、沢山の妊婦さんの力になり、ご活躍を期待しております。
田中:こちらこそ、ありがとうございました。